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限界集落の真実の真実??

 白神共生機構・代表の山下です。1月初旬にちくま新書で『限界集落の真実』を上梓しました。
 調査に関わっていただいた多くの方々、ありがとうございました。お礼に色々と送りいたしましたが、漏れもあったかもしれません。その際はご容赦ください。
 本書の内容の大半を占める鰺ヶ沢町や沢田の報告は、白神共生機構のメンバーとともに行ってきたものです。共生機構へのご協力の方々に感謝いたしますとともに、引き続きご支援をよろしくお願いいたします。
 さて、タイトルの、「限界集落の真実の真実」について。
 編集の方によると、1月22日日曜日に朝日新聞の新書紹介欄で本書を取り上げていただいたこともあり、この日1日で結構出たそうなのです。が、実は売れているののは地方ばかり。首都圏や関西圏ではまだ売れている本というものではないようです。実は、私も近所の本屋を回ったのですが、わずかに1冊おいていただいていたのを確認したのみ。
 でも、発売前には、編集のM氏とともに、こういう堅い本は駄目なんじゃyないかと、かなり弱気になっていましたので、まずはホッとしている次第です。
 1月29日には、弘前市相馬地区沢田で、ろうそく祭りに関わるシンポジウムが行われます。私も出席し、弘前市長とともに、宮口先生も登壇されます。久しぶりに青森の皆さんにお会いしにいいきます。

朝日新聞記事 東大教授・鬼頭秀一さん

朝日新聞に取り上げていただいた内容です。

以下引用


■人と自然 密接な関係

 白神山地が世界遺産になったころ、当時新設された青森公立大に4年間いた。

 環境倫理が専門で、人と自然がどう付き合うかを研究している。人が自然とどう関わるか、となると、これは「文化」の問題になる。私も今日(ツアーで)行った田代地区や村市地区などには、聞き取り調査に通った。根深さんが白神の山を守るべく孤軍奮闘していたころだ。

 白神では、世界遺産になったとたんに「中に入ってはいけない」となり、これはちょっと違うんじゃないかという問題が起きた。

《「手つかず」誤解》

 これはどういうことかというと、それまでの自然保護運動には、「自然はか弱くて、少しでも触ると壊れてしまう。だから人間の手つかずがいい」という考え方があり、1990年代はそれが主流だった。

 アメリカの考え方が入ってきたもので、当時はこれがグローバルスタンダードだと思われた。ヨーロッパに比べれば、アメリカには手つかずなところが残っていて、「フロンティアを守る」という愛国的気分が「手つかずの自然を守る」という概念を産んだ。

 白神は、東京からは「手つかずのブナ林」というイメージに見える。それを守るのが保護運動だ、と展開してしまった。この結果が「住み分け」だ。

《一つのまとまり》

 この点は、世界遺産登録に尽力した当時の日本自然保護協会の会長だった沼田真さん(故人)も後年になって後悔していたようで「人間と自然を分けるという形で白神を保護をしてきたが、間違いだった。人間と自然、文化を一つのまとまりとして考えなければならない」などと記している。

 自然・人間・文化を一体として白神を考えていくというのは、根深さんが最初から言っていたところだが、どうもそういうのはきちんと理解されなかった。

 現在は、立ち入り禁止になっている場所にも、地元の人は入り込んで山菜・キノコを採る権利があり、入っていた。白神は、人の関わりとが濃厚にあって守られてきた場所だったのだ。

 地域の人を追い出してしまうと、監視する人がいなくなり、違法伐採などを防ぐことが出来なくなる。行政もNPOもそこまでは監視しきれないからだ。人が入らないと自然は守れないというのは、現在、世界的な流れになってきている。

 《自然保護に新風》

 今回の古道ツアーは、そういった文化的側面を調べ上げてのツアーで、実にすばらしい。こういうことが行われるということは、白神の保全だけでなく、日本の自然をどう守っていくのかについて、新しいことが始まるんだな、という気がする。


写真付きの記事は以下URLよりどうぞ!
http://mytown.asahi.com/aomori/news.php?k_id=02000951111220003

朝日新聞記事 作家・根深誠さんの講演

朝日新聞に取り上げていただいた内容です。

以下引用

■「山の神」信仰消えた

 白神山地が世界遺産になるまでの話と、なった後の話をします。世界遺産になった後で、いろんなことが変わった。あまり良くなったことはないが……。

《林道計画が契機》

 1970年代の終わりごろに、森林の伐採を目的とした青森と秋田を結ぶ青秋林道の計画が持ち上がり、82年に着工し、反対派が要望書を提出した。その翌年に、「青秋林道に反対する連絡協議会」が出来た。

 反対するにあたっては、面積を1万6800ヘクタールとして「自然環境保全地域にして欲しい」と決めた。これは、あそこのブナの森は、自然の純度はちょっと濃いが、昔から人が出入りして、ゼンマイを採ったり、クマを捕ったりして恵みを得ていたので「原生自然環境保全地域」というのを求めるのは歴史的にも不自然だったからだ。

《93年に世界遺産》

 「白神山地」という呼び名もこの時に出来た。

 それまで「白神」という呼び名がなかったわけではないが、弘前出身の私自身もそうだったし、その昔、岩木山に登った菅江真澄も書いているように、みんな「目屋の山」とか「目屋の奥山」などと呼んでいた。

 「赤石川を守る会」も結成された。源流の木を切られると、土砂が流れるなどして下流域の人々が困るということだ。弘前の私が反対しても、推進する側には関係ないが、流域の人たちが反対すると利害が絡んでくる。この人たちを回って歩いて反対を組織し、地域の過半数が反対することになった。結果、90年に、林道はストップし、93年に世界遺産登録された。

 しかし、世界遺産になったら、とたんに「入山するな」ということになり、地元の人はゼンマイ採りも出来なくなった。今まで木を切ることに専念していた林野行政が、突然、自然保護を唱える。身についてないことをするから、山を取り巻く人間が混乱した。

《縄文人と心共有》

 どんな混乱があったと言えば、例えば、ブナの木に文字が刻まれた「鉈(なた)目」を、山慣れしていないマスコミが「落書きだ」と大騒ぎする。誰がわざわざ山奥の木に家族の名前まで刻みますか。あれは家族の安全を願う祈り、敬虔(けい・けん)な気持ちだった。ところが、悪いことだ、犯罪だ、というような風潮が何年も続き、「山の神」信仰がなくなってきてしまった。

 白神のブナの森は縄文時代のころから変わっていない。中でひとときを過ごせば、当時の人たちと気持ちを共有することが出来る。

 日本の街路樹にはクスノキが圧倒的に多いが、ブナを植えようではないか。平地にブナを。それこそ、世界遺産を抱える地域にふさわしい景観だと思う。


写真付きの記事は以下URLよりどうぞ!
http://mytown.asahi.com/aomori/news.php?k_id=02000951111220002

『限界集落の真実 村は消えるか?』(ちくま新書)刊行します

 2012年1月に『限界集落の真実 村は消えるか?』が刊行されます。
 私(山下)が2007年から、弘前大学社会学研究室で進めてきた調査をまとめたもので、誤解の多いこの問題について、とくに世代と家族という視点から解読を行ったものです。
 本書では、鰺ヶ沢町深谷地区が中心的な調査地として取り上げられていますが、深谷地区こそ、白神山地に一番近い村の一つで、ミニ白神もこのエリアです。
 弘前市相馬地区にある、沢田集落も取り上げています。沢田もまた白神への道の最奥集落でした。
 本書『限界集落の真実』(ちくま新書)は、1月5日頃には書店に並ぶと思います。 「白神学」が表だとすると、この限界集落問題はその裏にあたります。『限界集落の真実』は過疎問題の解説書ですが、白神に関心のある方は、ぜひ「白神学」とあわせてご覧下さい。意外なつながりが見えてくると思います。

『世界』2012年1月号「東北発の復興論へ」

 『世界』2012年1月号に、「東北発の復興論へ」を寄稿させていただきました。書店に行かれた際にはご覧下さい。
 これは以前、『季刊東北学』に「東北発の震災論」を掲載いただきましたが、その内容を受けて書かせていただいたものです。
 「東北発の震災論」では、東日本大震災後の状況を、中心と周辺のある大きなシステムの中で身動きできない東北の問題を描きました。この問題は、復興段階に入ってますます先鋭化しているようです。『世界』紙上ではその内容を進めてみました。
 東日本大震災と白神がどうつながるか?もしそういう興味がおありの方は、1月刊行の限界集落をテーマにした、山下の新書もご覧いただきたいと思っています。次のブログで紹介します。
プロフィール

yamasso

Author:yamasso
白神共生機構(SSO)代表 山下(yama)祐介のブログです
しばらく東日本大震災のことにも触れていこうと思います。

NPO法人 白神共生機構が立ち上がりました。
 このNPO法人は、私たちが
   白神山地の
    森 と 人 の 共生
を作り上げていくためのものです。
 このブログでは、本機構の活動内容を紹介していきます。
とともに、
 白神山地周辺の人・社会・自然環境の状況について広く解説していきます。

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